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数とト・モ・ダ・チになる(2)
数とト・モ・ダ・チになる(1)の続きです。(1)を読んでいない方は、先にお読みください。
算数では数を扱います。数式を立てたり、計算したり、数の性質を使いこなしたりして問題を解きます。それにもかかわらず、生徒の多くは、“数と友だち”になっていません。サッカーボールと友だちになっていない子どもが、自分の意志通りにボールをコントロールできないように、数と友だちになっていない子は、算数の勉強も思い通りに進められません。
では、数と友だちになるとはどういうことでしょうか。漫画の<シーン1>では、サッカーボールと友だちになっている翼くんのボールさばきの様子が描かれていますが、数と友だちになったかどうかは計算力を見ればわかります。
高学年になると、桁数の多いかけ算やわり算を習いますが、計算力がないと、間違いの多さやスピードの遅さが目立ちます。桁数の多い計算をパーツに分解してみると、5+8や14-6、7×6=42、23÷8=2…7のような、小学3年生までに習った計算で成り立っていることがわかります。小数の計算も、計算の進め方は整数の計算と同じですので、計算力不足の根本は、小学低学年までの熟達度の低さにあります。特にくり上がるたし算、くり下がるひき算、あまりのあるわり算の計算を苦手にしている生徒が多くなっています。
計算は「速く」「正確に」計算できることが大切です。速さについては、8+4のような計算を1秒以内でできるスピードです。しかがって、100ます計算では100秒以内(1分40秒以内)を目指します。計算が速い生徒は1分15秒くらいでできるようになります。速くできても間違いが多くては意味がありませんので、正確さも計算力の大事な要素です。100ます計算では、1問1点で100点(満点)を合格点とします。
数とト・モ・ダ・チになる(3)へ続く。
数とト・モ・ダ・チになる(1)
100ます計算に取り組まなくなってだいぶ年数が経ちました。最近では生徒の計算力の低下がとても気になるようになってきました。計算力の無さは、算数の学力に直結します。
計算間違いが多い、計算が遅い ⇒ 計算練習が嫌い ⇒ ますます計算間違いをする、計算も遅いまま ⇒ 計算が苦手 ⇒ 算数がさらに嫌い
というわかりやすい図式の中にはまっている生徒が近頃は増えてきました。
そのため小学4年生~6年生の授業で、100ます計算を復活することにしました。
皆さんは「キャプテン翼」(小学生編、作者:高橋陽一、集英社、1981年~88年)というサッカーの漫画をご存じでしょうか。お母さん方はよく知らないかもしれませんが、当時の小・中学生男子に大きな影響を与えた漫画です。私はドンピシャの世代で、影響を受けたうちの一人で、朝から晩までボールを蹴っていました。「キャプテン翼」は、元日本代表の中田英寿さんや元フランス代表のジダン選手、アルゼンチン代表のメッシ選手もこの漫画のファンであることを公言するなど、世界中の人に影響を与えている日本が誇る漫画です。
さて、この「キャプテン翼 小学生編」の中に、とても有名なシーンがあります。主人公の大空翼くんが1人で相手チームの選手をドリブルで抜いていく<シーン1>です(第1巻65ページ)。 その翼くんのボールさばきを見ていたブラジルナショナルチームに所属するロベルト本郷が「この少年… あの年齢でもう サッカーボールと ト・モ・ダ・チに なっている‼」と呟くシーンがあります。
<シーン1>です(第1巻65ページ)
その後も、ロベルト本郷が子どもたちにサッカーを教える<シーン2>でも、サッカーボールと友だちになる話が出てきます(第1巻135~136ページ)。
ロベルトはサッカーが上手になるには、まず“ボールと友だち”になることが大切だと言っています。
<シーン2>(第1巻135~136ページ)
算数もまったく同じです。算数では数を扱います。数式を立てたり、計算したり、数の性質を使いこなしたりして問題を解きます。それにもかかわらず、生徒の多くは、“数と友だち”になっていません。サッカーボールと友だちになっていない子どもが、自分の意志通りにボールをコントロールできないように、数と友だちになっていない子は、算数の勉強も思い通りに進められません。
数とト・モ・ダ・チになる(2)へ続く。
低学年の算数の文章題の教え方(3)
ご家庭でできる、低学年のお子さんへの算数の文章題の教え方をお伝えしています。
教え方(1)(2)を読んでいない方は、そちらを先にお読みください。
算数の問題文を読み終わったら、お子さんに問題の内容について質問してみましょう。
保護者:どんなお話だった?
子ども:・・・
保護者:聞かれているのはどんなこと?
子ども:・・・
この会話のように、お子さんが文章題の内容を理解していない場合は、どうすればいいでしょうか。
一番良いのは具体物を使って、お子さんの目の前で説明することです。
この場合は、「あめ」が問題文に登場するので、実際に飴を用意します。
飴がない場合は、同じ種類で飴の個数と同じ分だけ用意できる物(半具体物)で代用します。例えば、同じ形、同じ大きさ、同じ色の積み木などです。
用意できたら、問題文をゆっくり読みながら、問題文に書いてある通りに具体物(半具体物)を操作します。ここでも「ゆっくり」がポイントです。間をとって、お子さんに考える時間を作ってあげましょう。
お子さんの前で具体物を動かしながら2,3度説明したら、今度はお子さんにさせてみてください。
「お母さんと同じようにやってみて」と伝えるといいでしょう。
例に出した問題では、「ゆいちゃんに2こあげた」というところがポイントになります。「2こあげる」ことにより、「2こ少なくなる、減る」というのが、お子さんが目で見て分かることが大切です。
実際に子どもが自分で具体物(半具体物)を動かして納得できると、「少なくなる、減る」ときは「ひき算」をするというがスムーズに理解できると思います。
低学年のうちは、まだ抽象的な思考力が育っていないので、できるだけ具体物か半具体物を使って説明するのがよいでしょう。
問題の中にりんごが出てきたら、お子さんの前にりんごを並べて説明するのが理想ですが、タイミングよくりんごがあるとは限りませんし、個数が多くなってしまうと揃えるのは不可能です。
そう考えると、ご家庭に算数用の積み木を用意しておくのがいいと思います。
保護者の方の説明の仕方も、回数を重ねていくと上達してきます。はじめはぎこちなくでも大丈夫ですので、お子さんと楽しみながら取り組んでください。
低学年の算数の文章題の教え方(2)
ご家庭でできる、低学年のお子さんへの算数の文章題の教え方をお伝えしています。
教え方(1)を読んでいない方は、そちらを先にお読みください。
お子さんが問題文を「ゆっくり」「3回」読んだら、どんなお話なのか、問題文の内容について質問してみましょう。
保護者:どんなお話だった?
子ども:たろうくんがあめを8こもってて、ゆいちゃんに2こあげた。
保護者:そうだね。それで、聞かれているのはどんなこと?
子ども:のこりはなんこって
保護者:たろうくんの残りのあめの数について聞かれてるね。
ゆいちゃんにあめを2こあげると、たろうくんのあめは増えるのかな?減るのかな?
子ども:へっちゃう。
保護者:減るときは、何算にするんだっけ?
子ども:ひき算
こんなにスムーズに会話が進むようでしたら、間違いなくお子さんは自分の力で解くことができます!
ここまでの手助けで、かなり多くの子が問題の内容を理解し、自分で式が立てられるようになります。
低学年の算数の文章題の教え方(1)
低学年のお子さんを持つ保護者の方からよく質問されるのが、算数の文章題の教え方についてです。
ご家庭で教えるときのポイントをまとめましたので、参考にしてください。
お子さんが算数の文章題がわからないと言ってきた場合には、次のように対応してみてください。
まず、問題文を読みます。基本的には、お子さんが読んでください。
ゆっくり、3回読みましょう。
文章題が苦手な子は、正しく問題文を読んでいない場合がほとんどです。
また、1回読んだだけでは、内容はよくわからないので、必ず3回以上読むようにしましょう。
問題文を読むときのポイントは、「ゆっくり」と「3回」です。
これだけでも、かなり多くの子が問題の内容を理解できます!
理解できると、「自分で解く」と言って、問題をやってしまうでしょう。
いかに多くの子が、ちゃんと問題文を読んでいないか。読んでるつもりでも、しっかり読んでいないのです。
問題文を読むのが大変なお子さんは、保護者の方がゆっくり3回読んであげましょう。